CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
母の還暦祝いに印鑑を贈る|名前の彫り方・素材・持ちやすさの選び方
お母様の還暦祝いに、お名前を彫った印鑑を贈りたい方へ。60代で実印が要る場面、フルネーム・下の名前だけ・旧姓の3つの彫り方と登録の決まり、白水牛や本象牙など素材ごとの押し心地、直径で変わる持ちやすさ、ケースの色の選び方を説明します。
公開日: 2026年9月29日
家族の通帳や印鑑を預かり、学校や役所の手続きを長く引き受けてきたお母様が、もうすぐ60歳を迎えます。ご自身のために印鑑を新調したことは、あるでしょうか。結婚して名字が変わったときに間に合わせで買った既製品を、今も使い続けている方は少なくありません。還暦祝いには、お名前を職人が彫った1本を贈ってみませんか。この記事では、名前の彫り方、素材、持ちやすさ、ケースの色の4つを、好みと暮らしに合わせて選ぶ方法をお話しします。
お母様の還暦祝いに印鑑を贈るなら、実印を含む3本セットか、実印を1本選びます。実印に彫る名前は、フルネームか下の名前だけです。旧姓の実印も、住民票に併記していれば登録できます。素材は、やわらかな乳白色の白水牛、朱肉のなじみがよい本象牙、丈夫で価格を抑えやすい黒水牛から、好きな色で選びます。太さは実印なら直径15mmが基本で、手の小さい方には細めの13.5mmも合います。ケースは、還暦の赤なら追加料金がかかりません。
母は、自分名義の実印を持っていないことがあります
家や車の契約をお父様の名義でしてきたご家庭では、お母様は一度も印鑑登録をしていない、という場合があります。登録していても、結婚したころに作った既製品のまま、という方も少なくありません。これまでは、それで困る場面がなかったのです。
ところが60代になると、お母様のご両親の相続を迎えることがあります。預金の相続では、遺産分割協議書に相続人全員が署名して実印を押し、全員分の印鑑証明書を出すのが一般的です。不動産を受け継いだときは、知った日から3年以内に登記を申請することが、2024年4月から義務になりました。そのときになって初めて、実印を登録していないことに気づき、慌てて作る方もいます。
60歳の女性の平均余命は28.92年です(厚生労働省「令和6年簡易生命表」)。還暦に贈る実印は、この先30年近く使ってもらえる1本です。まずは、お母様が今どんな印鑑を持っているかを、さりげなく聞いてみてください。
「お母さんの実印って、どれ? 家の書類はいつもお父さんの印鑑だよね」家の手続きの話から入ると、自然に聞けます
「結婚したときに文房具屋さんで買ったのを登録したきりかな。どこにしまったっけ」既製品のままで、しまった場所もはっきりしません。新調をすすめやすい状態です
「銀行の印鑑も同じもの?」実印と銀行印を1本で兼ねているかを確かめます
「銀行は、下の名前だけのかわいいのを作ったのよ」銀行印は気に入って使っているようなので、贈るなら実印と認印です
この会話の場合、贈る候補は実印と認印の2本か、素材をそろえた3本セットです。印鑑登録は1人1本までです。新しい実印を贈ったら、お住まいの市区町村の窓口で登録し直してもらいます。
名前は、フルネーム・下の名前だけ・旧姓から選べます
彫る文字は、実印か銀行印かという種類と、ご本人の希望で決めます。よく選ばれる彫り方を、字の並べ方と一緒に紹介します。
実印は、住民票に記録された氏名で登録します。京都市の場合、フルネームのほか、名字だけや名前だけの印鑑も登録できます。住民票に旧姓(旧氏)を併記している方なら、旧姓だけや、名前と組み合わせた形でも構いません。併記は2019年11月に始まった制度です。市区町村の窓口で申し出ると、住民票やマイナンバーカードに旧姓を載せられます。
生まれたときの名字を彫った印鑑は、お母様にとって特別な記念になることがあります。住民票に併記していない場合は、旧姓の印鑑を記念の1本として贈り、手続きに使う実印は今の名前で作ります。名前だけで作る実印の利点と注意点は実印は名前だけでもいい?で詳しく説明しています。
素材は、色の好みと押したときの手ごたえで選びます
印鑑の素材は、色だけでなく朱肉のなじみ方も違い、押したときの写り方が変わります。白い印材3種類と黒水牛を、実印15mmの価格と一緒に比べました。
白水牛
- 重さ
- ほどよい
- 朱肉のなじみ
- よい
透明感のある乳白色で、手に取るとやわらかな印象です。模様がほとんど入らない上品な白で、淡い色のケースとよく合います。乾燥に弱いので、使わないときはケースにしまっておきます。
実印15mm 30,000円
白水牛(柄)
- 重さ
- ほどよい
- 朱肉のなじみ
- よい
乳白色に茶色の模様が入り、同じ柄は2つとありません。模様は天然のもので、選ぶことはできません。手ざわりは白水牛と同じで、価格を抑えられます。
実印15mm 20,400円
本象牙
- 重さ
- ほどよい
- 朱肉のなじみ
- とてもよい
きめが細かく、朱肉が印面によくなじむので、軽く押しても細い線まできれいに写ります。使ううちに、落ち着いた色合いに変わっていきます。当店は経済産業省認定の象牙取扱店です。
実印15mm 36,100円
黒水牛
- 重さ
- ほどよい
- 朱肉のなじみ
- よい
耐久性に優れ、欠けにくい印材です。落ち着いた黒は、どの色のケースにも合います。4つの中では、いちばん価格を抑えられます。
実印15mm 15,300円明るい白が好きなお母様には、白水牛か白水牛(柄)が向いています。使い込むほど風合いが変わる品を喜ぶなら本象牙、予算を抑えたいなら黒水牛です。力を入れずに押したい方には、重みで自然に力がかかるチタンという選択肢もあります。押しやすさの違いは押しやすい印鑑の選び方で詳しくお話ししています。
持ちやすさは、印鑑の太さで変わります
長さは60mmほどが一般的で、直径によって握ったときの感覚が変わります。手の小さい方や、指の関節がこわばりやすい方は、太すぎる印鑑を握ると指が回りきらず、押すときに傾きやすくなります。直径ごとの太さを、同じ比率で並べました。
横から見た印鑑の太さ長さは60mmで描いています。図は実際の比率です
- 12mm認印・銀行印細身で、手の小さい方にも握りやすい
- 13.5mm銀行印名前2文字を横書きにしても字が詰まらない
- 15mm女性の実印で多いフルネームが収まり、指も回りやすい
- 16.5mm画数の多い名前にフルネームが5文字以上の方の実印に
- 18mm男性の実印で多い手の大きい方にはしっくりくる太さ
実印は、市区町村で登録できる大きさなら何mmでも構いません。京都市の場合は、印影が一辺8mmの正方形より大きく、一辺25mmの正方形に収まることが条件です。女性の実印は15mmがいちばん多く、名前だけで彫るなら13.5mmという選択肢もあります。
押すときに印面の上下を迷わないよう、胴に小さな目印(アタリ)を付けたいというご希望は、ご注文時の備考欄でご相談ください。女性の実印の大きさの決め方は女性の実印の選び方でもまとめています。
ケースは、母の好きな色で選びます
印鑑を押すたびに開け閉めするので、ケースは毎回目に入ります。個人の印鑑には黒か赤の牛革ケースが標準で付き、還暦の赤を選んでも追加料金はかかりません。お母様の好きな色がはっきりしているなら、カラーケースという選択肢もあります。
印鑑ケースの色個人の実印・銀行印・認印
- 黒標準
- 赤標準
- ピンク
- パープル
- ネイビー
- ブルー
- ダークグリーン
- ライトグリーン
- グリーン
- イエロー
- オレンジ
- ブラウン
カラーケースは追加料金がかかります。印鑑の直径10.5〜12mmで950円、13.5〜15mmで1,100円、16.5〜18mmで1,300円です。セットなら、1本ずつ色を選べます。
たとえば実印のケースを還暦の赤に、銀行印と認印をお母様の好きなピンクやパープルにする分け方があります。お祝いの色と好みの色を、どちらも取り入れられます。70歳の古希と77歳の喜寿は、紫が長寿祝いの色とされています。パープルのケースは、次の節目にも合う色です。
お父様から贈るか、きょうだいで贈るかで選び方が変わります
お父様から贈るのか、きょうだいで出し合うのか、1人で贈るのかで、選びやすい種類と予算が変わります。
ご夫婦の実印を同じ素材でそろえ、直径で見分けられるようにします。白水牛なら、お父様の18mmが41,000円、お母様の15mmが30,000円です
実印1本で30,000円前後実印15mm・銀行印13.5mm・認印12mmの3本セットが贈りやすい組み合わせです。白水牛(柄)なら44,200円、黒水牛なら30,200円です。桐箱か化粧箱が追加料金なしで付きます
合わせて30,000〜70,000円実印を1本贈ります。白水牛(柄)の15mmなら20,400円です。お母様が今の銀行印を気に入っているなら、新しくするのは実印だけで構いません
15,000〜30,000円お母様の好みが分からないときは、印材の写真とケースの色見本を一緒に見てみましょう。「この中ならどれが好き?」と聞けば、好きな色と素材が分かります。贈るまで内緒にはできませんが、印鑑はこの先長く手に取る品です。好きな色で作れるほうが喜ばれます。お父様の還暦祝いを実用品で考えている方は父の還暦祝いに実用的なプレゼントもあわせてご覧ください。
よくある質問
母がすでに実印を登録している場合も、贈っていいですか
構いません。印鑑登録は1人1本までなので、新しい実印を使い始めるときに、市区町村の窓口で登録し直してもらいます。今の実印の状態がよければ、銀行印と認印を同じ素材でそろえて贈る方法もあります。
下の名前だけの銀行印は、どの銀行でも使えますか
下の名前だけで銀行印を作る方は多くいらっしゃいますが、届け出を受け付けるかどうかは金融機関が判断します。新しい口座に使うときや、届出印を変えるときは、窓口で確かめておくと安心です。
白水牛(柄)の模様は選べますか
模様は天然のもので1本ずつ違うため、お選びいただくことはできません。同じ柄が2つとない1本になる、という楽しみ方もあります。柄の入らない白がよければ、白水牛か本象牙をお選びください。
母の名前の字が旧字体です。そのまま彫れますか
彫れます。住民票と同じ字で作っておくと、実印の登録で迷いません。運転免許証やマイナンバーカードで字の形を確かめ、ご注文時の備考欄にお書きください。
まとめ|母の還暦祝いの印鑑を決める順番
お母様の還暦祝いの印鑑は、次の順に決めていきます。まず、今の実印や銀行印が既製品のままか、1本で兼ねていないかを、さりげなく聞きます。次に、贈る人と予算に合わせて、3本セットか実印1本かを決めます。実印はフルネームか下の名前だけで彫り、旧姓で作るなら住民票に併記があるかを確かめます。素材は好きな色で、太さは手の大きさで選びます。最後にケースの色を決め、住民票どおりの字でご注文ください。
母の名前に合わせて、職人が1本ずつお作りします。やわらかな白の印材も、欠けにくい黒の印材も
京都の職人が、お名前の字に合わせて印面を設計し、1本ずつ彫刻します。下の名前だけの実印や銀行印も、ご注文時のお名前の欄でそのまま指定できます。赤いケースは追加料金なし、包装は青か赤を選べます。全国送料無料、5年保証です。
ケースの色は、ご注文時に1本ずつ選べます。旧字のお名前や旧姓で作るご相談はお問い合わせからどうぞ。