CHAPTER 05 印材・素材
天然石印鑑の内包物とひびの見分け方|模様か破損かを確かめる
天然石(パワーストーン)の印鑑に見える白い筋やもやは、石の内側にとどまっていれば内包物という天然の模様です。ひびや欠けとの見分け方を、爪でなぞる・光にかざす・場所を見るの順に説明し、届いた日と使っている途中に見つけたときの対処もまとめました。
公開日: 2026年10月5日 更新日: 2026年10月7日
届いた天然石(パワーストーン)の印鑑を光にかざしたら、中に白い筋が見えた。押す前から割れているのではないか。そう心配になって、この記事を開いた方もいると思います。使っているうちに、前はなかった気がする線に気づいた、という方もいるでしょう。石の中に見える筋には、もともと入っている模様と、あとから入ったひびの両方があります。この記事では、その2つを自分で見分ける方法と、見つけたあとの対処をご説明します。
石の内側にとどまっている白い筋、もや、点は、内包物と呼ばれる天然の模様で、そのまま使えます。ひびを疑うのは、表面に出ていて爪が引っかかる線です。印面の縁にかかる線や欠けは、印影が変わるおそれがあるので、小さくても早めにご相談ください。
天然石の内包物とは|石ができるときに取り込まれたもの
石は、長い時間をかけて地中で育ちます。その途中で、まわりにあった別の鉱物や液体、気体を中に閉じ込めることがあります。これを内包物と呼びます。鉱物の事典では包有物、英語ではインクルージョンといいます。
内包物は、傷でも汚れでもありません。石ができたときから中にあるもので、天然の石ならではの特徴です。印鑑でよく見かけるのは、次の3つの形です。
図は見え方の違いを示した見本で、実際の石の写真ではありません。
石の種類ごとに見られる内包物と模様
入りやすい内包物は、石によって違います。アベンチュリンのきらめきのように、内包物そのものが石の持ち味になっている例もあります。
白いもやと、針のような結晶が入ります。透き通っているので、中まではっきり見えます。こうした結晶を含むものは針入り水晶、緑の鉱物を含むものは草入り水晶と呼ばれます。
もや針白い筋やもやが入ります。少し透き通った石なので、光にかざすと中の濃淡が見えます。
もや筋きらめきの正体は、内包物です。石英の中に入った雲母などの細かなかけらが、光を反射しています。
きらめき金色の点は、黄鉄鉱という鉱物です。白い模様が入る石もあります。どちらも、青い石に混じった別の鉱物です。
金色の点白い模様縞は、石が層になって育った跡です。層の境目が線に見えますが、割れ目ではありません。
縞右の札は、その石でよく見られる模様の形です。入り方は1本ずつ違います。
内包物とひびは、表面に出ているかどうかで見分けます
心配しなくてよい模様か、確かめたほうがよい傷みかは、線が石の表面まで届いているかで分かれます。米国宝石学会(GIA)も、宝石の割れ目を説明するときに「表面に達する」かどうかに触れています。印鑑の断面を横から見た図で、3つの違いを示します。
図の下側が、名前を彫ってある印面です。
3つの確かめ方|爪でなぞる、光にかざす、場所を見る
特別な道具は要りません。明るい部屋で、次の順に確かめてください。
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1. 爪でなぞる
線を横切るように、爪の先を滑らせる
引っかからずに滑れば、線は石の内側にあると考えられます。かすかにでも爪が止まるなら、表面に出ています。力を入れず、軽くなでるだけにします。
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2. 光にかざす
窓の光やライトに向けて、ゆっくり回す
もやのような内包物は、回してもぼんやり白いままです。割れ目は薄い面のように入っていることが多く、ある角度でだけ、きらりと光って見えます。スマートフォンのライトを横から当てると、見やすくなります。
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3. 場所を見る
線や欠けが、印面の縁にかかっていないかを見る
印影に関わるのは、印面とその縁だけです。縁にかかる線は、胴の途中にある線より急いで確かめます。白い紙に試し押しをして、押した跡の外枠が一周つながっているかも見てください。
見る場所は4か所です
- 頭の面
印面と反対側の端です。落としたときに当たりやすい角が、欠けていないかを見ます
印影は変わらない。手に当たる鋭い欠けは相談する - 胴
手で持つ側面です。筋があれば、爪でなぞって、表面に出ているかを確かめます
爪が引っかかる線は、写真を撮って相談する - 印面の縁
押した跡の枠が、ぐるりと一周つながっているか。途切れていたら、縁が欠けています
小さな欠けでも、早めに相談する - 字の線と溝
字が太って見えるときは、溝に朱肉がたまっているだけのことがよくあります
乾いた歯ブラシで払えば、そのまま使える
筋や欠けを見つけたときの対処早見表
石の中の白いもや、針のような線、金色の点内包物です。石ができたときから中にあり、使っていて増えることはありません
そのまま使う縞や色の濃淡メノウやタイガーアイの縞は石の持ち味で、色の境目に見える線も割れ目ではありません
そのまま使う胴に細い線が見えるが、爪は引っかからない表面まで届いていない可能性が高い線です。写真を撮っておき、半年後に見比べます
様子を見る胴の線に爪が引っかかる、または前より伸びた表面に出ている割れ目かもしれません。落とした覚えがなくても、写真を添えてご相談ください
相談する印面の縁が欠けて、押した跡の枠が途切れる印影が変わっています。実印や銀行印は、登録や届出のやり直しが必要になります
相談する前より伸びたかどうかは、記憶だけでは分かりません。気になる線を見つけたら、日付の分かる写真を1枚撮っておいてください。あとで比べるときの手がかりになります。
届いた日に見つけたとき、使っている途中で見つけたとき
いつ、何を見つけたかによって、することが変わります。当店が運営する天然石印鑑の専門サイト、Stone Sealsで作った印鑑を例に、場面ごとにまとめます。
届いた日に、表面のひびや縁の欠けを見つけた
Stone Sealsは、不良品や注文と違う品の返品と交換に応じています。到着から2週間以内を目安に、お知らせください。
届いた日に、石の中の筋やもやが気になった
内包物は天然の石の特徴で、破損ではありません。確かめても判断がつかないときは、写真を添えてお問い合わせください。
使っている途中で、欠けやひびに気づいた
Stone Sealsの印鑑は、5年以内の破損なら、修理か再彫刻で対応しています。彫り直すと前とまったく同じ印影にはならないため、実印や銀行印は、登録や届出をやり直します。
落としたが、見たところ変わりがない
枠が一周つながっていて、字の線も欠けていなければ、そのまま使えます。落とした日付を書き添えて、押した紙を取っておくと、あとで見比べられます。
実印や銀行印の縁が欠けたあとの手続きは、パワーストーン印鑑は割れやすい?でご説明しています。川崎市の例では、欠けた実印はいったん廃止の手続きをしてから、新しい印鑑を登録します。銀行印は、取引している金融機関の窓口で届出印を変更します。
内包物が見えやすい石、見えにくい石
内包物がどのくらい見えるかは、石の透け方で変わります。透き通った石は、中まで見通せます。光を通さない石は内側がのぞけないので、内包物が気になることはありません。
中に何かが見えるのが落ち着かない方には、光を通さない石が向いています。透明な石が好きで、内包物の少ない1本がよい方は、注文の前にお問い合わせください。ただ、天然の石なので、内包物がまったくない石はお約束できません。
よくある質問
内包物がある石は、割れやすいのですか
内包物は、石の中に閉じ込められた別の鉱物や液体で、割れ目とは違います。気をつけたいのは、表面まで達している割れ目のほうです。改訂新版 世界大百科事典によると、水晶は、決まった向きに割れやすい性質(へき開)がほとんどない鉱物です。それでも硬い床に落とせば欠けることがあるので、持ち歩くときやしまうときはケースに入れてください。
内包物は、使っているうちに増えますか
増えません。内包物は、石ができるときに取り込まれたものです。前はなかった線が現れたなら、あとから入ったひびかもしれません。爪と光で確かめてください。
胴にひびがある印鑑を、実印として使い続けてもいいですか
押した印影が登録したときと変わっていなければ、そのまま実印として使えます。ただ、ひびが印面まで伸びて縁が欠けると、印影が変わってしまいます。大事な契約の前に慌てないよう、早めにご相談ください。
割れ目を樹脂で埋めた石もあると聞きました
GIAによると、表面に達する割れ目を、樹脂やガラスで埋めて目立たなくする処理があります。エメラルドなどでよく行われ、水晶の仲間では一般的ではありません。気になる方は、注文の前に処理の有無をお尋ねください。
急に冷やしたり温めたりすると、ひびが入りますか
入ることがあります。GIAは、水晶の仲間のアメシストについて、急な温度の変化でひびが入るおそれがあると注意しています。熱いお湯で洗ったり、ドライヤーを当てたりするのは避けてください。
まとめ|筋を見つけたときに確かめる順番
まず、線を横切るように爪でなぞります。引っかからなければ、次に光にかざして回します。どの角度でもぼんやり白いままなら、内包物です。続いて、線や欠けが印面の縁にかかっていないかを見て、白い紙に試し押しをします。枠が一周つながっていれば、そのまま使えます。爪が引っかかる線や縁の欠けがあれば、写真を撮ってから、購入したお店に相談します。