CHAPTER 15 人生の節目・記念
子どもに通帳と銀行印を渡すとき|親が確認することと伝えること
子ども名義で貯めてきた通帳と銀行印を、進学・就職・結婚を機に本人へ渡す親御さんへ。渡す前に確かめる口座の名義と届出印、住所や暗証番号の登録内容、親の口座と同じ銀行印を使っている場合の分け方、届出印を本人の銀行印に変える手続き、まとまった金額を渡すときの贈与税の考え方、本人に伝える保管のしかたを、引き継ぎメモの見本付きで説明します。
公開日: 2026年9月24日
お子さんが生まれたときに開いた口座に、お祝いやお年玉、児童手当を少しずつ貯めてきた。そんな通帳を、進学や就職、結婚の節目に本人へ渡そうと考えている親御さんは多いと思います。ところが、いざ渡そうとすると「届出印はどれだったか」「住所は前の家のままではないか」と、確かめたいことが次々に出てきます。この記事では、通帳と銀行印を渡す前に親が確かめること、親の口座と同じ銀行印を使っている場合の分け方、渡す日に本人へ伝えることを、順を追って説明します。
渡す前に確かめるのは、口座の名義、届出印、登録してある住所と連絡先の3つです。届出印が親の口座と同じ印鑑なら、そのまま渡さずに、お子さんの名前で新しく銀行印を作って届出印を変更します。手続きには、これまでの届出印、新しい印鑑、通帳、本人確認書類が要ります。渡す日には、通帳と銀行印を別々の場所にしまうこと、なくしたらすぐ銀行に電話することを伝えてください。
渡す時期は、お子さんが自分でお金を管理し始めるとき
通帳と銀行印を渡す時期に決まりはありません。多くのご家庭では、お子さんが自分の収入や生活費を管理し始める節目に渡しています。法務省の案内では、18歳になると親の同意なしにひとりで契約を結べますので、口座の手続きも本人が自分の判断でできます。
- 18歳成人・進学一人暮らしの生活費や奨学金を受け取る口座として使い始めます
- 20〜22歳就職給与の振込口座にします。自分の収入を自分で管理し始める節目です
- 20代後半〜結婚新生活の資金として渡します。姓が変わるなら名義変更も一緒に
- 30代〜住宅の購入・出産まとまった金額を渡す場合は、贈与税の確認が必要です
金融庁の案内では、10年以上入出金のない預金は休眠預金として扱われます。休眠預金になったあとも引き出せますが、手続きに手間がかかります。長いあいだ入金だけして記帳もしていない口座は、渡す前に一度記帳しておくと安心です。
渡す前に、親が確かめる3つのこと
通帳を開いて、届出印と一緒に机の上に並べてみてください。確かめるのは次の3つです。
通帳の表紙に書かれた名前を確かめます。お子さんの名義なら、そのまま本人に引き継げます。「子どものために」と親御さんの名義で貯めてきた場合は、通帳を渡すことはできません。口座からお金を引き出して、お子さんの口座に移すことになります。
口座を開いてから10年、20年とたつと、どの印鑑で届け出たかを忘れていることがあります。いまの通帳には印影が載っていませんので、通帳を見ても分かりません。心当たりの印鑑と通帳、本人確認書類を持って窓口へ行けば、多くの金融機関で届出印かどうかを確かめてもらえます。
口座を開いたあとに引っ越していると、前の住所のままになっていることがあります。住所が古いと、銀行からの大事な郵便がお子さんに届きません。お子さんが一人暮らしを始めるなら、新しい住所への変更を本人にしてもらいます。
あわせて、キャッシュカードを作ってあるか、暗証番号は何か、インターネットバンキングを申し込んであるかも確かめておきます。暗証番号を親御さんが決めた場合は、お子さんに渡したあとで本人に変更してもらってください。
届出印が親の口座と同じなら、そのまま渡しません
お子さんの口座を開くとき、親御さんが自分の銀行印をそのまま届出印にしたというご家庭は少なくありません。家族の姓が彫ってあれば、名義が誰でも届け出ることができるからです。ただ、この印鑑を通帳と一緒にお子さんへ渡すと、困ったことが2つ起きます。
1本の印鑑で、親の口座とお子さんの口座の両方からお金を引き出せる状態です
- 親の手続きができなくなる定期預金の解約や住所変更など、親御さんの口座で届出印が必要なときに手元にありません
- なくしたときに影響が広がるお子さんが引っ越し先でなくすと、親御さんやきょうだいの口座も届出印の変更が必要になります
- 子どもの管理にならない「お父さんの印鑑を借りている」状態のままでは、自分の口座を自分で守る意識が育ちにくくなります
この場合は、お子さんの名前で新しい銀行印を作り、届出印を変更してから渡します。家族で銀行印を共用することの注意点は夫婦で印鑑を共有してもいい?でも説明しています。
- 生まれたときや入学のときに、お子さんの名前で作った銀行印
- ほかの家族の口座には使っていない
- 印面に欠けやすり減りがなく、朱肉できれいに押せる
- 通帳と一緒にそのまま渡して、住所などの変更だけ本人がします
- 親御さんやきょうだいの口座にも同じ印鑑を使っている
- 文具店で買った既製品の認印を届出印にしている
- 印面が欠けている、どの印鑑か分からなくなった
- お子さんの名前で銀行印を作り、窓口で届出印を変更します
既製品の認印は、同じ印影のものが店頭に並んでいます。全国銀行協会も、多くの人が同じものを持つ印鑑は照合の意味がなくなると注意を促しています。これからお子さんの給与や貯金が入る口座ですので、本人だけの銀行印に切り替えておくことをおすすめします。銀行印の役割は銀行印とは?で詳しく説明しています。
届出印を、お子さんの銀行印に変える手続き
届出印の変更は「改印」とも呼ばれ、口座のある金融機関の窓口で行います。全国銀行協会の案内では、持って行くものは次の4つです。
お子さんが18歳以上の場合、手続きをするのは名義人であるお子さん本人です。親御さんが代わりに行く場合は委任状などが必要になり、金融機関によっては受け付けていません。いちばん確実なのは、お子さんが帰省したときに親子で一緒に窓口へ行くことです。これまでの届出印は親御さんが持ち、新しい銀行印はお子さんが持って、その場で切り替えます。
- 01名義・届出印・住所を確かめる通帳を記帳し、届出印がどれか分からなければ窓口で確かめます
- 02お子さんの銀行印を作る彫る名前と字体を本人に確かめます。当店は注文から3〜7営業日で発送します
- 03親子で窓口へ行く届出印、住所、電話番号、暗証番号をまとめて変更します。窓口が開いている平日に
- 04通帳と銀行印を渡す引き継ぎメモを添えて渡し、保管場所を一緒に決めます
まとまった金額を渡すときは、贈与税を確かめます
お子さん名義の口座でも、親御さんが通帳と印鑑を管理し、お子さんが口座の存在を知らなかった場合は、中のお金が親御さんの財産とみなされることがあります。その場合、通帳を渡した時点で親から子への贈与として扱われる可能性があります。
国税庁の案内では、贈与税は1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計から、基礎控除の110万円を引いた残りにかかります。口座の残高が110万円以下であれば、通帳を渡しても贈与税の申告は要りません。残高が110万円を大きく超えている場合は、渡し方によって扱いが変わりますので、渡す前に税務署か税理士に相談してください。
祖父母からのお祝いやお年玉を、お子さんの口座に預けてきたというご家庭は多いと思います。こうしたお金は、受け取った時点でお子さん自身のものです。通帳に「お年玉」「入学祝い おばあちゃんから」と鉛筆で書き添えておくと、お金の由来が分かるだけでなく、渡すときにお子さんが誰に感謝すればよいかも伝わります。
渡す日に添える、引き継ぎメモ
通帳と銀行印を渡すときは、口頭の説明だけでなく、紙のメモを1枚添えることをおすすめします。お子さんが数年後に手続きをするとき、どこの支店の口座なのかが分からなくて困ることがあるからです。
通帳と銀行印の引き継ぎメモ
- 金融機関と支店
- ○○銀行 △△支店口座を開いた支店。窓口での手続きは、ほかの支店でもできることが多いです
- 口座の種類
- 普通預金、定期預金 1口定期預金の満期日も書いておきます
- 届出印
- 黒い印鑑、下の名前の横書きどの印鑑かが分かる特徴を書きます。印影は押しません
- 登録の住所
- 実家の住所のまま引っ越したら本人が変更します
- キャッシュカード
- あり。暗証番号は本人が変更する
- 入っているお金
- お年玉、入学祝い、児童手当、親からの積み立て
- 書かないもの
- 暗証番号、届出印の印影メモを落としたときに、口座を守れなくなります
このメモは通帳とも銀行印とも別の場所にしまうよう、お子さんに伝えてください。
本人に伝えておきたい、保管の決まり
通帳と銀行印を渡す日に伝える4つのこと
- 通帳と銀行印は、別々の場所にしまう 全国銀行協会も、届出印を通帳とは別に保管するようすすめています。2つが揃うと、窓口でお金を引き出せてしまうからです。
- 銀行印は、ほかの用途に使わない 宅配便の受け取りや職場の書類に押すと、印影が人の目に触れます。認印は別に用意します。
- なくしたら、まず銀行に電話する 全国銀行協会の案内では、紛失に気づいたらすぐに取引のある銀行へ連絡します。口座を止めてもらってから、新しい印鑑を届け出ます。
- 引っ越しや結婚のときは、自分で届け出る 住所や姓が変わったら、本人が変更の手続きをします。銀行印を下の名前で作っておくと、姓が変わっても印鑑はそのまま使えます。
新しく作る銀行印の選び方
お子さんの銀行印を新しく作る場合に決めることは、彫る名前、直径、素材の3つです。
家族で同じ姓の銀行印が何本もあると、どれが誰のものか分からなくなります。お子さんの銀行印は下の名前で彫ると、ひと目で区別がつきます。直径は12mmか13.5mmが一般的です。名前の選び方は銀行印は苗字と名前のどちらで作る?で詳しく比べています。
通帳を渡す節目は、お子さんが実印や認印を使い始める時期でもあります。就職や一人暮らしが控えているなら、銀行印だけでなく実印と認印も一緒に揃えておくと、口座の届け出、部屋の契約、入社書類のすべてに本人の印鑑で対応できます。黒水牛の3本セットは24,300円からで、1本ずつ買い足すより費用を抑えられます。一人暮らしの準備は一人暮らしを始める子どもに持たせる印鑑にまとめています。
よくある質問
子どもが遠方に住んでいて、一緒に窓口へ行けません
同じ銀行の支店がお子さんの住まいの近くにあれば、お子さんがそちらの窓口で手続きできることが多いです。その場合は、これまでの届出印と通帳をお子さんに送り、届出印を変更したあとで古い印鑑を返してもらいます。郵送するときは、通帳と印鑑を別々の便に分けてください。近くに支店がない場合は、帰省に合わせて手続きするのが確実です。
届出印がどれだか、どうしても分かりません
心当たりの印鑑をすべて持って窓口へ行くと、照合してもらえます。見つからない場合は、届出印をなくしたときと同じ手続きで、新しい印鑑を届け出ることができます。名義人であるお子さん本人と本人確認書類が必要になりますので、親子で一緒に行ってください。
子どもがまだ高校生です。渡すのは早いでしょうか
アルバイトを始めるなら、給与を受け取る口座として通帳とキャッシュカードを渡す方が多いです。銀行印は親御さんが預かり、進学や就職のときに渡すという分け方もあります。通帳と銀行印を同時に渡す必要はありません。お子さんがお金の管理に慣れてきたところで、銀行印を渡してください。
娘が結婚します。旧姓の口座はそのまま渡していいですか
通帳と銀行印を渡したあとで、娘さん本人が名義変更の手続きをします。届出印に旧姓が彫ってある場合は、名義変更と一緒に届出印も変えることになります。入籍の前に渡すなら、下の名前で彫った銀行印に先に切り替えておくと、結婚後は名義の変更だけで済みます。手続きの順番は結婚で印鑑を変える順番で説明しています。
これまで届出印にしていた親の印鑑は、変更後も使えますか
使えます。届出印の変更は、お子さんの口座についてだけ行う手続きです。親御さんの口座の届出印は変わりませんので、これまでどおりお使いください。
まとめ|確かめてから渡し、渡したあとは本人に任せる
お子さんに通帳と銀行印を渡す前に、口座の名義、届出印、登録してある住所を確かめてください。届出印が親御さんの口座と同じ印鑑や既製品の認印なら、お子さんの名前で銀行印を作り、親子で窓口へ行って届出印を変更します。持って行くのは、これまでの届出印、新しい銀行印、通帳、本人確認書類です。
残高が110万円を大きく超える場合は、渡す前に贈与税の扱いを税務署や税理士に確かめておくと安心です。渡す日には引き継ぎメモを添え、通帳と銀行印を別々にしまうこと、なくしたらまず銀行に電話することを伝えてください。そこから先は、お子さんが自分で守っていく口座になります。
お子さんの名前で、これからの届出印をお作りします
京都の職人が1本ずつ彫刻します。下の名前の横書きにも対応し、黒か赤の牛革ケースが付きます。送料は無料、注文から3〜7営業日で発送します。