CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー

物を増やしたくない人へのプレゼント|小さくて役立つ品の選び方

「ものを増やしたくない」と言う相手やミニマリストへのプレゼントは、小さくて、持ち物と重ならず、使い道がはっきりした品から選びます。贈り物を負担に感じる4つの理由と、消えもの・体験・上位版・一生使う品の4つの選び方、本数が決まっていて増えない印鑑の贈り方を説明します。

公開日: 2026年9月26日

白い漆喰の壁の前に置いた淡いオークのローボードの上に、小さな黒の革の印鑑ケース、柘の印材を載せた白い皿、観葉植物の鉢だけを一列に並べた、余白の多い静かな部屋の写真
ものを増やしたくない人への贈り物 「要らない」と言う相手にも、受け取ってもらいやすい品があります

「ものを増やしたくないから、プレゼントは要らない」。そう言われると、贈る側は何を選べばよいか困ってしまいます。けれど、相手が避けたいのは、置き場所に困るもの、使わないもの、すでに持っているものが増えることです。祝ってもらうこと自体を断っているとは限りません。この記事では、贈り物が負担になる理由と、それを避ける4つの選び方を説明します。そのうえで、印鑑がこうした相手に向く理由と、贈る本数の決め方をお伝えします。

先に結論

「小さい」「持ち物と重ならない」「使い道がはっきりしている」「捨てる手間がない」の4つを満たす品を選びます。候補は、食べたり使ったりしてなくなる消えもの、形に残らない体験、いま使っている品の上位版、小さくて一生使う品の4つです。印鑑は革のケースに入れても名刺入れより小さく、実印は1人1個、銀行印と認印を合わせても3本で足りる「増えない道具」です。相手がまだ自分の印鑑を持っていなければ、ものを増やしたくない人にも向いています。持っているかどうかは、贈る前に一言聞けば分かります。

ものを増やしたくない人が、贈り物で困る4つの理由

相手が「要らない」と言う理由は、だいたい次の4つに分かれます。理由が分かれば、贈る側で避けられます。

01

置き場所がない

持ち物を絞っている人は、棚や引き出しに入れる品まで決めていることがあります。大きな雑貨や飾り、季節にしか使わない道具は、置き場所を新しく作らなければなりません。それ自体が負担です。

贈る側でできること手のひらや引き出しの隅に収まる大きさの品にします

02

すでに持っている

財布、マグカップ、タオル、文房具。暮らしに要る品は、気に入ったものをすでに1つ持っています。同じ用途の品が2つになると、片方は使われないまま残りがちです。

贈る側でできること相手がまだ持っていない品か、いま使っている品と入れ替えられる上位版にします

03

使い道が分からない

「とりあえず飾っておく」置物や、用途がはっきりしない雑貨は、使う場面がないまま棚に残ります。持ち物を絞っている人には、使わないものを持ち続けること自体が負担です。

贈る側でできること「いつ、何に使うか」を一言で説明できる品にします

04

捨てにくい

もらった品は、要らなくても捨てにくいものです。贈り主の顔が浮かぶほど、処分に気を使います。「捨てる手間を贈られた」と感じてしまう人もいます。

贈る側でできること使い切れる品か、何十年も使い続けられる品のどちらかにします

裏を返すと、贈る品に必要な条件は4つです。小さいこと、持ち物と重ならないこと、使い道がはっきりしていること、捨てる手間がないことです。ここからは、この条件に合う候補を見ていきます。

机に置いたときの広さで比べる

「小さい」とはどのくらいかを、定番の贈り物を机に置いたときの広さで比べてみます。数字は一般的な大きさの目安です。

印鑑(ケース入り)
約8cm × 3.5cm
名刺入れ
約10cm × 7cm
万年筆(箱入り)
約17cm × 6cm
二つ折りの財布
約11cm × 9.5cm
マグカップ
約12cm × 8cm(取っ手を含む)
花瓶・置物
約15cm × 15cm
ブランケット(たたんだ状態)
約30cm × 25cm

横棒の長さは、置いたときの面積を比べた目安です。印鑑は3本セットでも、ケース3つを並べれば引き出しの隅に収まります。

印鑑は、定番の贈り物の中でもいちばん小さい部類です。革のケースに入れても名刺入れの半分ほどで、桐箱に入れても手のひらに載ります。飾る品ではなく、引き出しにしまっておき、使うときだけ取り出す道具です。置き場所を新しく作らなくても、いまの暮らしに収まります。

4つの選び方|消えもの・体験・上位版・小さくて一生使う品

この4つの条件を満たす贈り物は、大きく次の4種類に分かれます。どれにするかは、相手との関係と予算で決めます。

残らない

消えもの

食べたり飲んだり、使い切ったりする品です。手元に残らないので、置き場所も処分の手間も要りません。

例上質な菓子や茶、調味料、入浴剤、いつも使う消耗品の少し上等な品

気をつけること好みや食事の制限を知らないと外れます。記念の品としては残りません

形がない

体験

食事、旅、観劇、習いごとなどです。品は何も増えず、思い出だけが残ります。

例食事券、宿泊のギフト、コンサートのチケット

気をつけること日程を合わせる手間がかかります。有効期限があると、期限内に使うことが負担になる場合もあります

入れ替える

いま使っている品の上位版

毎日使っている日用品を、上質なものに入れ替えてもらう贈り方です。古いほうを手放せるので、持ち物の数は変わりません。

例タオル、包丁、ボールペン、財布や名刺入れ

気をつけること相手の好みと、いま使っている品の形をよく知っておく必要があります

増えない

小さくて、一生使う品

手のひらに収まり、一度手にしたら何十年も同じものを使い続ける道具です。数が増えないので、ものを増やしたくない人にも受け取ってもらいやすい品です。

例印鑑、万年筆、爪切りやはさみなどの小さな道具

気をつけることすでに持っているかどうかを、贈る前に確かめます

親しい友人や同僚には消えものや体験、ご家族や恋人には上位版が向いています。上位版は、相手がいま使っている品をよく知らないと選べないためです。成人、就職、結婚、独立といった節目には、4つ目の「小さくて一生使う品」が合います。その代表が印鑑です。

印鑑が「増えない道具」である理由

印鑑は、贈り物の中でも珍しく、必要な本数が最初から決まっている品です。京都市の案内では、実印として登録できる印鑑は1人につき1個です。これに、口座に届け出る銀行印と、日常で使う認印を合わせた3本があれば足ります。銀行の届出印は、全国銀行協会の案内のとおり、届け出たときの印影と照らし合わせて使います。そのため、欠けたり失くしたりしない限り、買い替えも買い足しもしません。

ほかの贈り物

使うほど、次が要る

  • 財布・鞄数年で傷み、次の1つに入れ替わります
  • 器・雑貨気に入るほど、同じ作家の品が増えていきます
  • 服・小物季節と流行に合わせて入れ替わります
  • 置物飾る場所を作らないと、しまわれたままになります
印鑑

3本で足りて、そのまま何十年も

  • 本数実印1本、銀行印1本、認印1本。それ以上は増えません
  • 期間登録・届け出をしたまま、同じ1本を使い続けます
  • 置き場所ケースに入れて、引き出しの隅にしまえます。飾る必要はありません
  • 手放すとき印材によっては、印面を削って次に使う人の名前に彫り直せます

ただし、条件が1つあります。相手がまだ自分の印鑑を持っていないことです。実印と銀行印を登録済みの人に贈ると、「すでに持っているもの」が増えるだけです。贈る前に「実印はもう登録してる?」と一言聞くか、聞きにくければ相手のご家族に確かめてください。確かめ方は印鑑のプレゼントは嬉しくない?贈る前に確認したい5つのことにまとめています。

持っている本数で、贈る本数を決める

ものを増やしたくない相手には、まだ持っていない本数だけを贈るのが基本です。状況ごとに、向く贈り方をまとめました。

相手の状況向く贈り方贈る本数と価格
自分の印鑑を1本も持っていない

成人や就職、一人暮らしを始める人によくある状況です。実印・銀行印・認印の3本セットなら、用途ごとに1本ずつ分けて持てるので、これから要る分がひととおりそろいます。ケースが3つあっても、引き出しの隅に収まります。

3本セット。薩摩本柘 21,700円〜、黒水牛 24,300円〜
既製の認印しか持っていない

就職や結婚、車の購入、住宅ローンを控えた人によくある状況です。市区町村に登録する実印と、口座に届け出る銀行印の2本を、名前に合わせて作ります。

実印・銀行印の2本セット。薩摩本柘 16,200円〜、黒水牛 17,900円〜
銀行印は既製品、実印はない

実印を1本贈るのが基本です。口座の届け出も新しくするつもりがあれば、実印と銀行印の2本セットにして、既製品を手放してもらう方法もあります。

実印1本。黒水牛15mm 15,300円。2本セットなら17,900円〜
実印も銀行印も登録済み

同じ用途の1本を贈っても、重なるだけです。消えものや体験にするか、既製品の認印を、名前に合わせて作った1本に入れ替えてもらいます。

贈らないか、認印1本。薩摩本柘12mm 6,400円

迷ったら、本人と一緒に選ぶ方法もあります。持っている本数を確かめてもらい、印材とケースの色も選んでもらって、支払いだけを贈る側がします。自分で選んだ品なら、ものを増やしたくない相手でも受け取りやすくなります。進め方は印鑑のプレゼントは本人に選んでもらう?をご覧ください。単品とセットの決め方は印鑑のプレゼントは単品とセットのどちら?で説明しています。

贈るときの3つの気配り

ものを増やしたくない相手には、品だけでなく、渡し方にも少し気を配ると受け取ってもらいやすくなります。

包装は最小限にする
  • 当店の2本・3本セットは、桐箱か化粧箱を追加料金なしで選べます。箱はそのまま保管用に使えるので、捨てずに済みます
  • のし紙や包装紙は、改まった贈り方が必要なときだけにします。親しい間柄なら、革のケースに入れたまま手渡してもかまいません
「何に使うか」を一言添える
  • 「実印は車の登録や住宅ローン、銀行印は口座、認印は宅配の受け取りや職場で」と、使う場面を一言で伝えます
  • 使い道が分かっていれば、しまい込まれにくくなります
既製品を手放してよいと伝える
  • いま使っている既製の銀行印は、届け出ている口座をすべて新しい1本に替えれば、手放してかまいません
  • 「いまの印鑑と入れ替えるための1本」と伝えておけば、相手も持ち物が増えるとは感じにくくなります

よくある質問

「何も要らない」と言われました。本当に何も贈らないほうがよいですか

相手の言葉をそのまま受け取るのも、ひとつの気配りです。それでも節目を祝いたいなら、残らない消えものや体験、または「いま持っていない、小さくて一生使う品」に絞ります。印鑑なら「持っていないなら作ろうか」と先に聞き、要らないと言われたらやめておきます。この聞き方なら、負担をかけずに済みます。

ミニマリストの相手に3本セットは多すぎませんか

3本は「必要な本数」で、余分ではありません。実印は市区町村に登録し、銀行印は口座に届け出て、認印は宅配の受け取りや職場で使います。1本にまとめると、失くしたときに登録も届け出もすべてやり直すことになります。ケース3つを並べても名刺入れより少し大きいくらいなので、引き出しの隅に収まります。ただし相手がすでに何本か持っているなら、持っていない本数だけにしてください。

キャッシュレスで暮らしていて、印鑑を使う場面がなさそうです

支払いがキャッシュレスになっても、使う場面はなくなっていません。印鑑登録や口座の届け出、車の購入、住宅ローン、相続などがその例です。回数は少なくても、どれも暮らしの節目です。ふだんは引き出しの隅にしまっておけるので、出番が少なくても場所の負担になりません。

印鑑以外で、小さくて一生使える品はありますか

万年筆、上質な爪切りやはさみ、名刺入れなどの革小物が候補です。ただ、どれも相手の好みや、すでに持っているかどうかに左右されます。印鑑は名前を彫って使う実用品で、飾って楽しむ品ほど好みに左右されません。持っているかどうかも一言で確かめられるので、選びやすい品です。一生ものの選び方は一生もののプレゼントの選び方で詳しく説明しています。

まとめ|贈る品を決める順番

贈る品は、次の順番で決めます。まず、相手が気にしているのは置き場所か、持ち物の重なりか、使わずに残ることか、処分の手間かを考えます。次に、相手との関係と予算から、消えもの、体験、上位版、小さくて一生使う品のどれにするかを決めます。印鑑にするなら、実印と銀行印をもう持っているかを一言聞きます。そのうえで、持っていない本数だけを名前に合わせて作ります。1本も持っていなければ3本セット、既製の認印だけなら実印と銀行印の2本セット、実印だけがないなら実印1本です。

増えない道具を、必要な本数だけ

持っていない本数だけ、名前に合わせてお作りします

京都の職人が名前の字に合わせて印面を設計し、1本ずつ彫刻します。3本セットと2本セットは、保管用に使える桐箱か化粧箱を追加料金なしで選べます。牛革ケース、保証書、京印章証明書付き。送料無料、5年保証。

まだ1本も持っていない相手に、3本セットを見る(薩摩本柘 21,700円〜)

SOURCES

出典

各品の大きさは一般的な目安で、品によって変わります。印鑑登録の条件は京都市の案内を一例として参照しました。金融機関の届出印の扱いは全国銀行協会の案内を参照しています。当店の価格は税込で、記事作成時点のものです。

  1. 京都市. 印鑑登録. 京都市情報館. https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000147302.html,(参照 2026-09-25).
  2. 一般社団法人全国銀行協会. ハンコにはルールがあります!. 教えて!くらしと銀行. https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-f/3805/,(参照 2026-09-25).