CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
恋人に印鑑を贈るのは重い?付き合いの段階別に種類を選ぶ
恋人への印鑑のプレゼントが「重い」と感じられるのは、実印が契約や結婚を連想させ、名前を彫った一生ものだからです。ただ、重さは印鑑の種類で変わります。認印は気軽、銀行印は実用、実印は節目の贈り物。付き合い始め、1年以上、同棲や結婚を考える段階のそれぞれで向く種類、名前の彫り方、別れた場合や結婚した場合にどうなるか、縁起の言い伝え、渡すきっかけと価格を説明します。
公開日: 2026年9月26日
恋人に印鑑を贈ろうと考えて、ふと手が止まる。「重いと思われないだろうか」。この心配には、はっきりした理由があります。印鑑と聞いて多くの人が思い浮かべるのは実印で、実印は家や車の契約、結婚後の住まいの購入のような人生の節目で押す印鑑だからです。名前を彫った一生ものを、付き合っている相手に贈る。その響きが重く感じられるのです。ただ、印鑑には認印、銀行印、実印の3種類があり、それぞれ使う場面も、贈ったときの受け取られ方も違います。この記事では、恋人への印鑑がなぜ重く感じられるのかを整理したうえで、種類ごとの重さの違い、付き合いの段階ごとに向く種類、名前の彫り方、別れた場合や結婚した場合に印鑑がどうなるか、縁起の言い伝え、渡すきっかけと価格を説明します。
恋人への印鑑は、種類を選べば重くありません。認印や銀行印は「毎日の実用品」として気軽に贈れ、実印は同棲や結婚を考える段階の節目の贈り物になります。付き合い始めや1年前後なら、相手が既製の認印を使っているのを見かけたときに、名前を彫った認印や銀行印を1本。薩摩本柘の認印12mmが6,400円、黒水牛の銀行印13.5mmが9,500円です。銀行印を名前だけで彫っておけば、将来姓が変わっても使い続けられます。同棲や結婚を具体的に考えている段階なら、2人分の実印を同じ印材で作る贈り方が、これから2人で押す契約を見据えた節目の品になります。印鑑は本人の名前を彫った本人の物ですので、贈り主の名前は入らず、どんな結果になっても相手の手元で使い続けられる贈り物です。
恋人への印鑑が「重い」と感じられる3つの理由
重いと感じる理由をはっきりさせると、どこを変えれば軽くなるかが見えてきます。理由は3つあります。
「印鑑」と聞くと、実印を思い浮かべる
実印は、家や車の購入、結婚後の住まいの契約のような節目で押す印鑑です。「一緒に契約する日を見据えている」と受け取られる可能性があります。ただし、これは実印の話で、認印や銀行印には当てはまりません。
名前を彫った、一生ものだから
名前を彫った品は、ほかの人には渡せません。「この先も使い続けてほしい」という気持ちがこもります。財布や時計のように「気に入らなければ使わない」で済まない、その分だけ重みが出ます。
値段と本数が、意味を持つ
3本セットや本象牙の実印は、贈り物として立派な分、「そこまでしてもらって」と相手に負担を感じさせることがあります。恋人への贈り物では、本数と印材で重さを調整できます。
3つの理由はどれも「実印」「一生もの」「高価」に集まります。逆に言えば、認印や銀行印を1本、相手の暮らしに合う印材で贈れば、重さはほとんど残りません。
重さは種類で変わる。認印、銀行印、実印の順に
印鑑の3種類を、恋人に贈ったときの「重さ」で並べます。使う場面が日常に近いほど軽く、節目に近いほど重くなります。
認印
宅配便の受け取り、職場の書類、回覧に
いちばん日常に近い印鑑です。既製の三文判を使っている相手に、名前を彫った1本を贈る。「ちゃんとしたはんこ、持ってなかったでしょう」という、暮らしの道具の贈り物です。文房具や名刺入れを贈るのと同じ距離感で渡せます。
薩摩本柘12mm 6,400円、黒水牛12mm 7,000円。付き合い始めからでも銀行印
口座の開設、窓口での引き出し
お金に関わる印鑑ですが、契約の印鑑ではありません。新しい口座を作る、既製の印鑑で届け出ている口座の届出印を変える、という実用の場面があります。名前だけで彫れば、姓が変わっても使い続けられる、先を縛らない贈り物になります。
黒水牛13.5mm 9,500円、白水牛(柄)13.5mm 14,300円。1年以上の相手に実印
家や車の契約、ローン、遺産分割や保証人の手続き
役所に登録して本人の証明として使う、いちばん重い印鑑です。恋人に贈るなら、同棲や結婚を具体的に考えていて、これから2人で契約をする場面が見えている段階の贈り物です。2人分を同じ印材で作れば、対の記念品になります。
黒水牛15mm 15,300円、チタン15mm 31,800円。同棲・結婚を考える段階に迷ったら、銀行印です。認印ほど軽くはなく、実印ほど重くもない。名前だけで彫れば将来を縛らず、実用の場面もはっきりしています。恋人への印鑑のプレゼントで、いちばん選ばれている種類です。
付き合いの段階で見る、向く種類と向かない種類
同じ印鑑でも、付き合いの段階によって受け取られ方が変わります。段階ごとに、3種類の向き不向きを並べます。
婚約したあとに贈る場合は、姓の扱いが関わります。入籍前に新姓で作るときの注意は結婚祝いの印鑑は新姓で作る?で説明しています。
彫る名前は、「名前だけ」がいちばん気楽です
恋人に贈る印鑑で、姓を入れるかどうかは考えどころです。姓を入れると、将来姓が変わったときに使えなくなる可能性があり、「変わらない前提」にも「変わる前提」にも受け取れて、どちらにしても意味を持ちすぎます。名前だけで彫れば、この問題がなくなります。
- 将来姓が変わっても、印影が変わらないので、そのまま届出印として使い続けられます。姓を入れた印鑑を届け出ていると、全国銀行協会の案内のとおり、これまでの届出印と新しい印鑑を持って窓口で変更することになります
- 「先のことを決めつけない」贈り物になります。重さがいちばん軽い彫り方です
- 京都市の案内では、名前だけの印鑑も実印として登録できます(住民票の氏名の一部)
- ひらがなやカタカナの名前は、そのまま彫れます
- 実印はフルネームが基本です。同棲や結婚を考える段階で2人分を作るなら、それぞれのフルネームで
- 認印は姓だけが一般的です。職場や宅配便で使うので、姓のほうが自然です
- 姓が変わる可能性がある相手には、入籍後に新姓で作る形にすれば、作り直しになりません
別れたら、結婚したら。印鑑はどうなる
「もし別れたら、贈った印鑑はどうなるのか」。気になるところですが、印鑑は贈り主の名前が入らない品です。財布やアクセサリーと違って、相手の名前だけが彫られた、相手の物になります。
印鑑には、贈り主の痕跡がありません。相手の名前を彫った、相手の印鑑です。ペアのアクセサリーのように「見るたびに思い出す」品とは違い、銀行印なら口座に届け出たまま、認印なら宅配便の受け取りに、暮らしの道具として使い続けられます。
贈る側の気持ちとしても、「使ってもらえている」で終われる品です。
名前だけで彫った銀行印は、姓が変わっても届出印として使い続けられます。実印を旧姓のフルネームで持っていた場合は、新姓で作り直して登録し直します。結婚を考える段階で2人分の実印を贈るなら、入籍後に新姓で作るか、名前だけで作る形にすると無駄になりません。
付き合っていたころに贈った1本が、結婚後も家の道具として残ります。
「印鑑を贈ると縁起が悪い」は本当か
印鑑の贈り物には、「相手を縛る」「責任を押しつける」といった言い伝えがあります。恋人への贈り物では、この言い伝えが「重さ」と重なって気になりやすいところです。実際には、成人祝いや就職祝いで印鑑は長く贈られてきた品で、言い伝えに根拠はありません。ただ、相手やその家族が縁起を気にする人なら、渡すときに「ちゃんとしたはんこがなくて困っていたと言っていたから」と、実用の理由を一言添えると、重さも縁起の心配も薄れます。言い伝えの由来と、縁起よりも本当に確かめておきたいことは印鑑を贈ると縁起が悪い?にまとめています。
渡すきっかけと、相手に確かめること
恋人への印鑑は、「なぜ今、印鑑なのか」というきっかけがあると、重さが消えます。きっかけは、相手の暮らしの中にあります。
印鑑を贈る、自然なきっかけ
- 1既製の印鑑を使っているのを見た
宅配便の受け取りや書類で、100円の三文判を使っていた。「名前が彫ってあるはんこ、1本あると便利だよ」と、認印を贈るいちばん自然なきっかけです。
- 2就職、転職、一人暮らしを始める
新しい口座を作る、会社に書類を出す、賃貸の契約をする。印鑑を使う場面が増える節目です。銀行印か認印を、新生活の準備として。
- 3「実印がなくて困った」と言った
車を買う、賃貸の保証で求められた。本人が困った経験をしたあとなら、実印を贈っても重くなりません。本人の事情に合わせて、直径と名前を一緒に決めます。
- 4同棲や結婚に向けて、引っ越しを決めた
新居の契約、2人の口座、両家への挨拶。これから2人で押す場面が見えている段階です。2人分の実印を同じ印材で作る、対の贈り物にします。
きっかけがないまま、誕生日に突然3本セットを贈ると、重く受け取られることがあります。誕生日に贈るなら、認印か銀行印を1本、ケースの色を相手の好みに合わせて。誕生日の印鑑の選び方は誕生日に印鑑を贈る意味で説明しています。
贈る前に確かめる4つのこと
- 名前の字「髙」と「高」のような字の違い。免許証や保険証の字で。聞きにくければ「年賀状に書きたいから」と。
- すでに持っている印鑑銀行印を持っているなら、認印を。実印を登録しているなら、実印は贈りません。同じ用途の2本目は使われません。
- ケースの色の好み印鑑で好みが出るのはここだけ。持ち物の色に合わせて。標準の黒・赤のほか、カラー牛革10色があります。
- 渡す理由を、一言で言えるか「三文判を使ってたから」「口座を作るって言ってたから」。この一言があれば、重くなりません。
価格の目安
恋人への印鑑は、1本で贈るのが基本です。同棲や結婚を考える段階では、2人分の実印を同じ印材で。3本セットは、相手が「自分の印鑑を1本も持っていない」と分かっている場合に、就職などの節目で贈ります。
よくある質問
付き合って3か月ですが、誕生日に印鑑は変ですか
相手が既製の印鑑を使っているのを見たことがあれば、認印を1本、変ではありません。「ちゃんとしたはんこがあると便利だから」と実用の理由を添えて、ケースの色を相手の好みに合わせます。銀行印や実印は、もう少し段階が進んでからのほうが自然です。
18歳の恋人に実印を贈っても、使えますか
京都市の案内では、印鑑登録ができるのは15歳以上です。また法務省の案内では、2022年4月から成年年齢が18歳になり、18歳から親の同意なく契約ができるようになりました。18歳以上なら、実印を登録して契約に使えます。ただ、恋人からの実印は重く受け取られやすい贈り物ですので、本人が「実印が必要になった」と言った場面で贈るのが自然です。
ペアで揃えたいのですが、同じ印鑑を2本作れますか
印材と直径、書体、ケースを同じにして、名前だけをそれぞれのものにする形で、対の印鑑になります。印影は、名前が違えば当然違い、同じ名前でも職人が別に設計しますので、2本が同じ印影になることはありません。夫婦で揃える考え方は結婚記念日にペアの印鑑をにまとめています。
相手の好みが分からないとき、色はどうすればいいですか
印鑑で好みが出るのは、印材の色とケースの色だけです。黒水牛に標準の黒か赤のケースなら、性別や年齢を問わず受け取ってもらえます。相手の持ち物にネイビーやブラウンが多ければ、カラー牛革のケースをその色に。聞けるなら、ケースの色だけ候補を見せて選んでもらう方法もあります。
まとめ|認印と銀行印は軽く、実印は2人の節目に
恋人への印鑑が重く感じられるのは、「印鑑=実印」「名前を彫った一生もの」「高価」という3つの連想からです。種類を選べば、重さは変わります。認印は文房具の延長で付き合い始めからでも贈れ、銀行印は名前だけで彫れば将来を縛らない実用の1本になり、実印は同棲や結婚を考える段階で2人分を同じ印材で作る節目の贈り物になります。印鑑は贈り主の名前が入らない、相手の名前だけの道具ですので、どんな結果になっても相手の暮らしで使い続けられます。「三文判を使っていたから」「口座を作ると言っていたから」。そう一言で言える理由があれば、恋人への印鑑は重くなりません。
お相手のお名前に合わせて、職人が1本ずつお作りします
認印と銀行印は1本から、実印は2人分を同じ印材で。名前だけで彫る、姓を入れる、どちらでも承ります。ケースは標準の黒・赤のほか、カラー牛革10色から追加料金で選べます。和紙調の包装(青・赤)は追加料金なし、全国送料無料、5年保証です。
- 認認印1本付き合い始めから。三文判を使っている相手に。薩摩本柘12mm 6,400円〜認印を見る →
- 銀銀行印1本1年以上の相手に。名前だけで彫れば姓が変わっても使えます。黒水牛13.5mm 9,500円銀行印を見る →
- 実実印を2人分同棲・結婚を考える段階に。同じ印材でそれぞれの名前を。黒水牛15mm 15,300円〜(1本)実印を見る →
相手がまだ自分の印鑑を1本も持っていないなら、就職などの節目に実印・銀行印・認印の3本セット(薩摩本柘 21,700円〜)を桐箱で贈る形もあります。